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名古屋で働いているWebデザイナーのブログです

ナルホ堂さん主催の『中村書体と筑紫書体講座』セミナーに参加してきました

『中村書体と筑紫書体講座』でフォントの貴重なお話を聞いた

2003年の「筑紫明朝」を皮切りに、次々とシリーズ展開し「筑紫ゴシック」「筑紫アンティーク明朝」「筑紫丸ゴシック」「筑紫ヴィンテージ明朝」等、伝統性と独自のデザイン性を合わせ持つ「筑紫書体シリーズ」を生み出し続けている藤田重信氏。
 
一方、まだフォントがアナログ(写植)だったころに「ナール」「ゴナ」という、丸ゴシック体・ゴシック体におけるモダン系書体の「決定版」とも言えるフォントを制作し、70年代から90年代までのグラフィックデザインに多大な影響を与えた中村征宏氏。
 
これらの書体はどれも、小説や漫画、広告・ポスターなどで皆さんが一度は必ず目にしたことのある書体です。書体に精通するデザイナーは「ゴナを超えるモダンゴシック体は未だに出ていない」と口を揃え、筑紫書体は書体に拘りのあるブックデザイナーを中心に多大な評価を得ています。お二人には自身がどのような想いやアイデアで書体を制作したのか、お話していただきます。

fontworks.co.jp

…というイベントをFacebookでお見かけして、参加してきました。

感想

内容に関しては、こちらのTogetterでまとめられている参加者ツイートを眺めるとだいたいわかるかと思います。

togetter.com

私は写植・Typographyといった分野の知識はあまりありません。最新のMacOSには「筑紫A丸ゴシック」「筑紫B丸ゴシック」がインストールされており、可愛らしいフォントだと思いながら頻繁に使っていて、「あの筑紫フォントの制作に関するお話!気になるから参加してみよう」くらいの軽い気持ちで臨みました。

かつてフォントがどのような存在であって、書体をデザインする皆さんの手によってどう変化してきたのか(特に中村さんのお話)、今の時代に自分たちがどんな視点・思惑でデザインしていて、今後さらにどう変化していくのか(特に藤田さんのお話)。書体の造形の魅力はもちろん、それをつくる皆さんの感性や視点をお聞きでき、単に「講座」というより、なんというか「ありがたさ」すら感じる貴重な時間だったなあとしみじみ感じています。

そもそも数千数万の書体を手でつくる(昔は手書き、今はパス)こと自体が途方もない技術だと思えるのですが、それはもはや前提という感じで特別触れられていなかったのが印象に残ってます。
質問タイムで中村さんが、書体の造形の方向性を決める最初の工程は楽しいけどその後は基本的にただの作業なので楽しいということはない…みたいなお話をされていましたが、いやはや本当にすごい仕事だなと…。

そして、筑紫フォントシリーズや、ナール、ゴナといったフォントも実際に使ってみたいと思えました。個人的にmojimoを契約していて、筑紫フォントを一部だけ利用できますが、もっといろいろな書体やウェイトを使ってみたいし、ただただ眺めたい。(ゴナはデジタルフォント化されないのでしょかね…??)

いろいろな開発中のフォントのお話もあったので、日本語のフォント関係へもアンテナを張って新しい情報を追いかけていきたいと思いました。

イベント開催の皆様、登壇された皆様、貴重なお時間をどうもありがとうございました。

聞いたことのメモ書き

全然整理してないしこれだけ読んでもちんぷんかんぷんかと思いますが、せっかくなので載せておきます。

藤田さんのお話

  • とにかく突っ走って作ってきた
  • ダイレクト刷版、明朝体が目に痛いと呼ばれることが増えた
  • デジタルの世界…活版のインク溜まり、ピントボケがなくなり、夢と理想の世界がきたはずが、文字は先ほそり、読みづらくなっていた
  • 潤いと体温 シャープさとは真逆 筑紫書体では、インクにじみを取り入れた
  • 写植レンズのピンボケ … 先端を丸くしている
  • 漢字を従来より「かな」と相性よくした。漢字を柔らかくすると、かなも本来の柔らかさに持っていける
  • 右払い 水平に心地よく流れる形に。従来、太くなるとばさっと切り落とした感じに。独自な筆っぽいスタイル
  • 筑紫書体のかな、戸田勉さん曰く運動が見える書体
  • 「ま」「は」「ほ」「よ」 結びを逆三角形に
  • 「な」 軽く逆S字
  • 「と」の底辺 少し丸く
  • 「わ」 手の運動が他のメーカーフォントよりもみえる
  • 右上がりにするとうまい文字に見える。筑紫も取り入れてる。他が3度あげてるなら、筑紫は5度上げた。次の文字へと波乗りをしているように!
  • 今最も活躍しているのは、筑紫のウェイトL
  • 嫌われる勇気などの書籍タイトルでも使われた
  • 未知なる領域へデザイン進行中!アンティーク以降、筑紫Q明朝体、ゴシック。未知なる領域へ
  • 文字、フトコロと呼ばれる箇所。写植時代は懐の大きいフォントが流行った。従来は出来るだけ正方形で密度高く、大きく。筑紫は台形、楷書は三角
  • 明朝、明治期は全然違ったが、近代は正方形でみんな似ている
  • 「ふ」 左下 吸い込まれていきそうなデザイン!
  • BとCリリース、一年経つとあちこちで普通に使われるように
  • 楷書体、和菓子。和洋折衷、筑紫の新しいフォントが居場所を見つけた
  • 筑紫B丸ゴシック、優しくて品が良い。アンティーク丸ゴシックは柔美。
  • 丸ゴシックに関しては、理屈より見た目優先!アンティーク丸ゴ、先端が正円にみえるように徹底
  • 「愛」パーツを離して、丸を見せる
  • 太さULからHまで作る予定
  • NHK、筑紫結構使われてる
  • 「君の名は」のタイトルはA1明朝
  • 筑紫AMゴシックや宋朝体。伝承の継承から、伝承の発展へ

中村さんのお話

  • 修行 文字の縁取りだけただひたすら 看板展の仕事
  • 3年経って 森永の仕事 ミルクキャラメル
  • オフセット印刷き 紙差し作業 練習したけどなかなか出来ず 3ヶ月で退社
  • 1961年ごろ 活字収納棚
  • 日立の仕事 当時の日立ロゴ 内側だけに丸み
  • テレビドラマ 字幕テロップの仕事を知る やってみたいと思い名古屋テレビへ。テロップ書いた。4点。それで入社へ
  • テロップ文字書き。文字としてではなく、線として書く。縦書き、横書き。これが原点
  • 字詰作業 手作業でやってた。紙を切り貼り。2年ほど仕事。ナールは、わざわざ詰めなくても良いようにと作った文字。当時の写研石井丸ゴシックとは対照的
  • ナールの次、今までのゴシックで1番太いものよりも、さらに太い文字を!写研の人に頼まれて。ゴナU
  • 増田鉄工業所の看板の仕事と、ヘルベチカの形を組み合わせた(のだなあと後から気づいた)。英字の併用も、従来の石井フォントより良くなったと思っている
  • 濁点半濁点、接触、切り取り、丸抜き(他に打ちようがなかった)
  • 近くの多い文字、「鬱」とか。まず細く書いてから、太める場所を判断して書く
  • 8センチ正方形でデータ化
  • ゴナ8ファミリー 写研さんに多くのウェイトは作ってもらった
  • 1970〜1995まで手書き
  • 書体づくりの手がかり、変化例
    • 3点 はね、うろこ、はらい
    • 先端の切り方、はねの角度
    • 線自体の形を変える
    • 字幅の取り方をかえる
    • 直線、曲線の変化
    • 軸中心のズレ
    • 左右はへん・つくりの大きさ、割合、比率
    • 線の角度、寝かせるのか
    • 先端の切り方

対談・質問タイム

造形
  • 藤田氏
    • クマゼミのフォルムにゾクゾクする。テールフェチ。
    • 脳裏にフォルムがやきつく。ひらがなのり。
    • カローラ。新旧、新しいカローラ、お尻が丸い。風呂で涙ぐみながら親に買い換えてと言った。
    • ワンクッション入れてから跳ねる!柔らかい明朝体。
    • 藤田さん世代だとQ太郎の背中のライン。
  • 中村氏
    • 看板の文字。自分の身に染み付いてるのでそれが基本になっている。根底。
筑紫フォント 違い?
  • 藤田氏
    • 筑紫オールドのかな、B、おから発展。Cと見出しのBとC。
    • オールドC、YSM...読売見出し明朝体 1番使われてた書体 踏襲してもかぶるだけ。
    • BとC。秀英タイプか築地タイプか。
工程で楽しいところ
  • 中村氏
    • ラフが1番楽しい。あとは仕上げていくだけ。
  • 藤田氏
    • 四六時中フォント考えてる。
どこからデジタルか
  • 中村氏
    • ラフは手書き。墨入れはデジタル。フォントアプリ作る専門のアプリがあるのでそれで作ってる
    • パソコンで曲線引けるようになるまでは、たいへん、というか手書きの方がよく書ける。
職業に就いたきっかけと、フォントにまつわる思い出
  • 中村氏
    • コンテストで一位になったことがきっかけ
    • ナール系統、編と作り直したいのがたくさんある
  • 藤田氏
    • デザイン。絵を描くだけはピカイチの成績だった。
    • 写研に行け!先生に言われて。朝から晩までレタリングできるぞ!!入社、文字書きへ
    • 後から直したいと思うところ、成長してれば常に思う。かといって、都度直してよくなるものでもない。人間的でいい。後からこうしたら良いなというのを取り入れていくとつまらなくなっていく。
二人の関係
  • 25年ぶりの再会
  • 藤田氏
    • 自分が20代の頃、ゴナ。中村さん、写研でやってたとき。
    • ゴナ、ナンバーワンの品。写研じゃない人がちゃんとデザインできるのがすごい!しかも手がめちゃくちゃ早い
  • 中村氏
    • 400字、縦線横線ばかり書くから早いわけであって、才能があるからではない!
  • 藤田氏
    • 1970年代、スターと呼ばれる人は中村、鈴木くらい。あとは職人、という世界。